2021-01-01から1年間の記事一覧
No.005 それは、何とも言えない風景だった。 ケイと肩を組み歩き始めると、また突然の灰色の世界があった。コウは勇気を出して(いやいやながら)ケイと歩みを進めると、いつの間にかだだっ広い草原の片隅に立っていた。 遠くには、山が峰を連ねている。草原…
No.003 目の前が真っ暗、いや一面灰色の世界だった。肩を組んだままの二人は茫然としていた。 「コウ、俺、目が見えなくなった。」前を見たままのケイは、不安そうに言った。 「違うよ。僕もケイちゃんしか見えない。」 ケイは、コウのほうを見て安心した。 …
No.001 2020年2月25日 その町は、薄い雲に朝の陽光を乗せていた。 コウとケイは、スマホゲームに導かれて町を歩き回っていた。 コウは13才。学校に行っていれば中1だが、コウは小学3年から学校には行っていない。人見知りで人と話すことが苦手な…
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19才の青年が寿命を閉じた。 彼の母親には、「カー」と名付けられた子犬が抱かれていた。 彼は母親と二人、アパートでつつましく暮らしていた。 父親とは、彼が6才の時から会っていない。 彼が物心がついた時から父親が理由もなく彼に暴力を振るうように…